【Python活用】Raspberry Pi と Windows を Tera Term で双方向通信する方法

Raspberry Pi（ラズパイ）を使ったプロジェクトでは、PCとデータをやり取りすることがよくあります。

今回は ラズパイ3B と Windows10 を Tera Term で接続し、Pythonプログラムを使って双方向通信 を行う方法を解説します。

必要なもの

Raspberry Pi 3B（OS: Raspberry Pi OS）
→ Raspberry Pi OS のインストール方法
Windows 10 PC
microSDカード（OSインストール済み）
USB シリアル変換ケーブル（例: PL2303、CH340、FT232R など）
→シリアル通信（USB-UART）の場合に必要
Tera Term（Windows用ターミナルソフト）
Python（ラズパイ標準で搭載）

SanDisk サンディスク 128GB microSD Extreme PRO microSDXC A2 SDSQXCY-128G-GN6MA

楽天市場

Amazon

方法A：TCPソケット（LAN経由）【おすすめ】

概要

Raspberry Pi 上の Python で TCPサーバ を起動（ポート例：5000）。Windows の Tera Term から TCP接続（Telnet/Raw） を張り、キーボード入力を送信、Pi 側が受け取り・処理して応答を返す構成です。

メリット

追加ハードウェア不要
Tera Term の標準機能で接続可（「TCP/IP」→「Telnet」or「その他（Raw）」）
複数接続にも拡張しやすい

ラズパイ側：Pythonサーバ（asyncio版）

ラズパイのターミナルで必要なら Python を確認（標準で3系あり）。以下の tcp_server.py を作成します。

# tcp_server.py
import asyncio
import datetime

HOST = "0.0.0.0"   # どこからの接続も受ける
PORT = 5000        # 任意の空きポート

WELCOME = (
    "Raspberry Pi TCP Server (UTF-8)\n"
    "Type something and press Enter. Commands: TIME, HELP, EXIT\n"
)

HELP = (
    "Commands:\n"
    "  TIME  : show server time\n"
    "  HELP  : show this help\n"
    "  EXIT  : close connection\n"
)

async def handle_client(reader: asyncio.StreamReader, writer: asyncio.StreamWriter):
    addr = writer.get_extra_info('peername')
    print(f"[INFO] Connected from {addr}")
    writer.write(WELCOME.encode("utf-8"))
    await writer.drain()

    try:
        while True:
            writer.write(b"> ")
            await writer.drain()

            data = await reader.readline()
            if not data:
                break

            text = data.decode("utf-8", errors="ignore").strip()
            print(f"[RECV] {addr}: {text}")

            if text.upper() == "EXIT":
                writer.write(b"Bye!\n")
                await writer.drain()
                break
            elif text.upper() == "TIME":
                now = datetime.datetime.now().strftime("%Y-%m-%d %H:%M:%S")
                writer.write(f"{now}\n".encode("utf-8"))
            elif text.upper() == "HELP":
                writer.write(HELP.encode("utf-8"))
            else:
                # エコー（お好みで処理を差し替え）
                writer.write(f"Echo: {text}\n".encode("utf-8"))

            await writer.drain()

    except Exception as e:
        print(f"[ERROR] {addr}: {e}")

    finally:
        writer.close()
        await writer.wait_closed()
        print(f"[INFO] Disconnected {addr}")

async def main():
    server = await asyncio.start_server(handle_client, HOST, PORT)
    addr = ", ".join(str(s.getsockname()) for s in server.sockets)
    print(f"[START] Listening on {addr}")
    async with server:
        await server.serve_forever()

if __name__ == "__main__":
    asyncio.run(main())

起動

python3 tcp_server.py

起動したら Listening on ('0.0.0.0', 5000) のように表示されます。

注意：社内LANや公開ネットワーク上で使う場合は、ファイアウォール/ネットワークポリシーに注意。必要に応じて認証を追加してください（IP制限、簡易パスワード、SSHトンネリングなど）。

起動後の画面例

Windows 10 側：Tera Term の接続

Tera Term を起動
「TCP/IP」タブを選択
「ホスト」に ラズパイのIPアドレス を入力（例：192.168.1.23）
サービスは
まずは Telnet でOK（Enterで送ると改行がLF/CRLFに変換されやすい）
うまくいかない場合は その他（Raw） を選び、ポート番号 5000 を指定
接続後、画面に「WELCOME」が表示 → TIME, HELP, EXIT などを入力

文字化け対策

Tera Term の文字コードを UTF-8 に設定
[メニュー] → 設定 → 端末 → 受信/送信で UTF-8 を選択
改行コードは LF/CRLF の違いで振る舞いが変わる場合があります。うまく表示されない場合は Tera Term の「送信時の改行」を調整してください。

方法B：シリアル通信（USB-UART）【ネット不要】

概要

ラズパイの GPIO（UART：TXD/GPIO14, RXD/GPIO15, GND）と、Windows PC の USB-シリアル変換器（FTDI/CP2102/CH340 など）を配線。Pi 側の Python は pyserial で待ち受け、Windows 側は Tera Term で COMポート に接続します。

準備物

USB-シリアル変換器（TTL 3.3V レベル対応のもの）
USBドライバーのインストール
ジャンパ線
（必要なら）はんだ・ブレッドボード

CP2102 USB-TTL UART 232 485ポート相互変換アダプター

安いのでおすすめです。ワイヤーも同封されています。

▶ Amazonで見る

配線（重要）

変換器 TXD → Pi の RXD（GPIO15, ピン10）
変換器 RXD → Pi の TXD（GPIO14, ピン8）
変換器 GND → Pi の GND（ピン6など）
電圧は3.3Vレベル必須（5Vを Pi UART に入れない！）

ラズパイ側設定（UART有効化）

sudo raspi-config
# Interface Options → Serial
# 「シリアル経由のログインシェルを有効にしますか？」→ いいえ
# 「シリアルハードウェアを有効にしますか？」→ はい

再起動後、/dev/serial0（または /dev/ttyAMA0//dev/ttyS0）が使えます。

ラズパイ側：Python（pyserial）

pip3 install pyserial

# serial_echo.py
import serial

# 例: /dev/serial0 を 115200bps
PORT = "/dev/serial0"
BAUD = 115200

with serial.Serial(PORT, BAUD, timeout=1) as ser:
    print(f"[START] Serial open: {PORT} {BAUD}bps")
    ser.write(b"Raspberry Pi Serial Server (UTF-8)\n")
    ser.write(b"Type something. Commands: HELP, EXIT\n")
    while True:
        line = ser.readline()  # 改行まで受信
        if not line:
            continue
        text = line.decode("utf-8", errors="ignore").strip()
        print(f"[RECV] {text}")

        if text.upper() == "EXIT":
            ser.write(b"Bye!\n")
            break
        elif text.upper() == "HELP":
            ser.write(b"Commands: HELP, EXIT\n")
        else:
            ser.write(f"Echo: {text}\n".encode("utf-8"))

起動：

python3 serial_echo.py

Windows 側：Tera Term

シリアルを選択 → COMポート（USB変換器が割り当てた番号）を選ぶ
速度（ボーレート）は 115200（スクリプトに合わせる）
文字コード UTF-8 推奨
接続するとラズパイからのウェルカムメッセージが見え、入力が反映されます

双方向通信のポイント（共通）

文字コード：UTF-8 に統一すると扱いやすい（Tera Term 側も UTF-8）
改行：Tera Term の「送信時の改行」（CR / LF / CR+LF）を調整
プロトコル：1行1メッセージ（\n終端）にすると実装が簡単
ログ：Tera Term のログ機能でテストログを保存可能（[ファイル]→ログ）
セキュリティ（TCP）：LAN越しは IP 制限や認証を検討

トラブルシュート

Tera Term で接続できない（TCP）
- IPアドレス・ポートが正しいか（ifconfig/ip a）
- ラズパイでサーバが起動しているか（ps, netstat -tulnp）
- ルータ/Windows Defender ファイアウォールで遮断されていないか
文字化けする
- Tera Term を UTF-8 に変更
- Python 側の encode("utf-8")/decode("utf-8") を確認
シリアルが開けない
- ポート名・ボーレート一致
- raspi-config で「シリアルシェルは無効」「ハードウェアは有効」になっているか
- 配線 TX/RX が交差しているか、GND が共通か、電圧は3.3Vか

追加：Windows側も Pythonで通信したい場合

Tera Term の代わりに Windows 側から Python で話すサンプル（TCPクライアント）

# windows_client.py
import socket
import time
HOST = "***.***.*.**"  # ラズパイのIP
PORT = 5000

with socket.create_connection((HOST, PORT)) as s:
    print(s.recv(1024).decode("utf-8"), end="")
    s.sendall(b"TIME\n")
    time.sleep(3)
    print(s.recv(1024).decode("utf-8"), end="")
    s.sendall(b"EXIT\n")
    time.sleep(3)
    print(s.recv(1024).decode("utf-8"), end="")